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◆実施及び運用の実務   ◆点検の実務   ◆マネジメントレビューのポイント
計画の実務  


(2)適用法令の特定

 適用法令の洗い出しに続いては、@適用される条項が義務規定か、努力規定か、A適用に際して、組織の規模・要件、施設の規模に関する裾きり規定があるか、B下位法令への委任があるか、C条例への委任があるか、D許可・認可・届出などの規定があるか、などの観点から精査し、適用法令を特定します。

@義務規定か努力規定か
 義務規定とは、「ばい煙を大気中に排出する者は、ばい煙発生施設を設置しようとするときは、環境省令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない(大気汚染防止法第6条第1項)」というように表現された条文をいいます。義務規定は文字通り履行することが義務として課されていますので、履行しない(できない)ことは許されません。

  一方、努力規定は、「・・・事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない(環境基本法第8条第3項)」のように記述された条文をいいます。努力規定は、履行するよう努めることを求めた規定で、履行されなくても罰則などによる強制は受けません。

 
適用法令として洗い出されたものであっても、努力規定であれば必ずしも特定をする必要はありません。しかし、立法の趣旨や社会的要請から判断するならば、組織自ら適用するものとして特定してもよいでしょう。

A組織の規模・要件、施設の規模に関する裾きり規定
 何らかの規制を受ける条項であっても、組織の規模・要件によっては適用されない場合があります。環境法における規制は、経済的な負荷を伴うものが少なくありません。法令による規制をそのまますべての組織に適用すると、中小企業の事業活動に影響することも多く、大企業に比べ負担が大きくなってしまう可能性があります。また、同じ環境負荷に関する事業であっても、量的にみれば中小企業と大企業では負荷の絶対量が違う場面が多々ありますから、それらの事情を考量して配慮された規定が裾きり規定です。たとえば、「市町村長は、小規模の事業者に対する第9条又は前条第1項若しくは第2項の規定の適用に当たっては、その者の事業活動の遂行に著しい支障を生ずることのないよう当該勧告又は命令の内容について特に配慮しなければならない(騒音規制法第13条)」というような規定がこれにあたります。

 また、施設の規模に関しても同様な裾きり規定が設けられていることがあります。たとえば、大気汚染防止法第2条に規定されるばい煙発生施設は、「・・・別表第1の中欄に掲げる施設であって、その規模がそれぞれ同表の下欄に該当するものとする(大気汚染防止法施行令第2条)」、とされているため、組織がボイラーを使用していても、「・・・伝熱面積が10平方メートル以上であるか、又はバーナーの燃料の燃焼能力が重油換算一時間当たり50リットル以上であること(大気汚染防止法施行令別表1)」という規模でなければ、ばい煙発生施設には該当しないため、法による適用を受けることはありません。

 適用法令として洗い出されたものであっても、これらの裾きり規定に該当する場合は、特定をする必要はありません。しかし、緊急事態における環境への影響を考慮し、組織が自主的に適用するものとして特定することは可能です。

B下位法令への委任
 上記の、「施設の規模に関する裾きり規定」でみたように、法律は全体の枠組を規定し、その具体的な基準や運用方法は下位法である施行令や施行規則に委任されていることが多くあります。環境側面の適用される法律を洗い出したならば、施行令や施行規則への委任規定があるかどうか確認する必要があります。たとえば、廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、特別産業廃棄物について下記のように下位法令に委任しています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律における下位法令への委任の例
 法第12条第4項 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

 令第6条の2第3号

・・・委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量
・・・
ホ その他環境省令で定める事項

 施行規則第8条の4の2

令第6条の2第3号 ホ(令第六条の十二第三号 の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 委託契約の有効期間
・・・

 このような場合、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第12条第4項)を洗い出しても、その先の施行令、施行規則にまで調査を行わなければ、特定をすることはできません。法律でわかることは、「産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない」ことだけで、政令では委託契約書をはじめ様々な委託基準が提示されますが、委託契約書の記載内容など具体的な事項は、施行規則をみてはじめて示されることになります。
  したがって、産業廃棄物の適正処理などを環境側面として掲げた場合は、廃棄物処理法施行規則第8条の4の2の規定を特定し、管理し、実施しなければ、廃棄物処理及び清掃に関する法律に違反する可能性が生じてしまうことになります。

C条例への委任
 条例は、地方自治体議会の議決に基づき制定される法形式で、法令に違反しない限りにおいて制定されること、とされています。また条例は、当該地方公共団体内でのみ効力を有し、義務を課し、権利を制限し、罰則規定を置くことも可能とされています。

 環境法で注意すべきことは、法律から条例に対し、法律が定める規定を上回る規定を盛り込める委任規定が明記されている場合があることです。たとえば、水質汚濁防止法第3条第3項では「都道府県は、当該都道府県の区域に属する公共用水域のうちに、その自然的、社会的条件から判断して、第一項の排水基準によっては人の健康を保護し、又は生活環境を保全することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域に排出される排出水の汚染状態について、政令で定める基準に従い、条例で、同項の排水基準にかえて適用すべき同項の排水基準で定める許容限度よりきびしい許容限度を定める排水基準を定めることができる」と規定され、同条を根拠とした上乗せ条例が多くの自治体で制定されています。

  また、法律の規制からは漏れているけれども、地域にとって規制が必要となる対象を、条例によって対象化させていることもあります。たとえば、水質汚濁防止法第29条では、「この法律の規定は、地方公共団体が、次に掲げる事項に関し条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない」とされ、「特定地下浸透水について、有害物質による汚染状態以外の水の汚染状態に関する事項」など、いくつかの規定が条例へ委任されています。このような法律の条文を根拠として、地域の実情にあわせた横だし条例が多くの自治体で設定されています。

 法的要求事項の遵守を考えた場合、法律による基準を遵守していても、@その基準に対して条例がさらに厳しい基準を規定している、A法律では対象とされていない施設が対象となっている、という場合は、条例による基準・対象を遵守しなければ意味がないことになります。それゆえ、適用法令の特定に際しては、工場や事業所が属する自治体の条例についてもきちんと洗い出しを実施し、規制内容を把握する必要があります。

D許可・認可・届出の規定
許可・認可とは、ある一定条件を満たした場合にのみ、行政官庁が業や施設の設置を認めるものです。許可・認可に際しては、その対象となる事業等に対する申請者の能力、事業を営んでいるほかの業者、周囲の環境に与える影響などが考慮されます。法律上、許可・認可の制度が規定されている場合、無許可での営業及び施設を設置は罰則の対象となります。また、届出は、基本的に届出書を提出することにより、営業を開始できます。ただし、設備が基準を満たしているかなどの確認が行われることもあります。
新規事業や新規施設を設置を予定している場合には、許可・認可・届出の規定があるかどうかを確かめる必要があります。さらに、許可・認可・届出などの規定は、一定期間経過後に更新が必要であったり、内容を変更する場合にはその報告などが必要とされたりすることがほとんどですので、それらの期間や手続方法についても正確に把握し、対応することが求められます。

許可・認可・届出の規定例
法律 対象者 許可・認可・届出の内容
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 第一種特定化学物質製造等事業者 製造の許可(経済産業大臣)
大気汚染防止法 ばい煙発生施設設置者 設置及び変更につき、届出(都道府県知事)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 産業廃棄物の広域的処理を行う者 認定(環境大臣)

(3)法規制登録簿の作成
 環境側面を規制する法令洗い出し及び特定が完了したら、参照することが可能となるように下表のように一覧表にまとめるとよいでしょう(その他要求事項については、後述)。

法的その他の要求事項登録票
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