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環境法令管理室_テーマ別法令主要改正解説

循環型社会2

5.特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)  法律

家電リサイクル法は、1998年6月、容器包装リサイクル法に続く二つ目の個別リサイクル法として制定されました。
家電リサイクル法
が制定された当時は、一般家庭から排出される使用済みの廃家電製品は、破砕処理の後に鉄などの一部の金属のみ回収が行われている場合があるものの、約半分はそのまま埋め立てられているのが実状でした。廃家電製品には鉄以外にも、銅・鉛・アルミ・ガラスなどの有用な資源が多く含まれていること、また、廃棄物最終処分場の残余容量がひっ迫しており、廃棄物の減量化は喫緊の課題となっていることが制定の背景にあります。

このような状況を踏まえ、廃棄物の減量と再生資源の十分な利用等を通じて廃棄物の適正な処理と資源の有効な利用を図り、循環型社会を実現していくため、使用済み廃家電製品の製造業者等及び小売業者に新たに義務を課すことを基本とする新しい再商品化の仕組みを定めた家電リサイクル法が制定され、2001年4月から施行されました。

家電リサイクル法では、家庭用エアコン、テレビ、冷蔵庫及び洗濯機の家電4品目について、小売業者による引取り及び製造業者等(製造業者、輸入業者)による再商品化等(リサイクル)が義務付けられ、消費者(排出者)には、家電4品目を廃棄する際、収集運搬料金とリサイクル料金を支払うことなどをそれぞれの役割分担として定めています。
また、製造業者等は引き取った廃家電製品の再商品化等(リサイクル)を行う場合、定められているリサイクル率(50〜60%)を達成しなければならないとともに、家庭用エアコンと冷蔵庫においては、含まれるフロンを回収することが義務付けられています。
国の役割としては、リサイクルに関する必要な情報提供や不当な請求をしている事業者等に対する是正勧告・命令・罰則の措置を定めています。

そのほか、消費者から特定家庭用機器廃棄物が小売業者から製造業者等に適切に引き渡されることを確保するために管理票(マニフェスト)制度が設けられており、これによりリサイクルが確実に行われているかどうかを消費者からも確認することができるシステムとなっています。

<家電リサイクル法の概要

【1】対象機器(法第2条第4項、令第1条)

家電製品を中心とする家庭用機器から、@市町村等による再商品化等が困難であり、A再商品化等をする必要性が特に高く、B設計、部品等の選択が再商品化等に重要な影響があり、C配送品であることから小売業者による収集が合理的であるものを対象機器として政令で指定する、こととされ、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンの4品目が対象機器として指定されています。

【2】再商品化等の定義(法第2条第1項〜第3項)

対象機器の廃棄物から部品及び材料を分離し、これを製品の原材料又は部品として利用すること、とするマテリアル・リサイクル及び対象機器の廃棄物から部品及び材料を分離し、これを燃料として利用すること、とするサーマル・リサイクルが含まれています。特定家庭用機器廃棄物の収集及び運搬並びに再商品化等に関する基本方針(1999年6月23日環境庁・厚生省・通商産業省告示第1号)においては、『特定家庭用機器廃棄物の再商品化等の実施に当たっては、まず、製品の部品又は原材料としての利用である再商品化を進めることが必要である。その上で、再商品化が技術的に困難な場合又は環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合に、熱回収を行う際には、生活環境の保全上支障が生じないよう万全を期しつつ行うことが必要である』として、サーマル・リサイクル優先の方針が掲げられています。

【3】関係者の役割

(1) 製造業者及び輸入業者(製造業者等)

@ 引取り義務(法第29条)
製造業者等は、予め指定した引取場所において、自らが製造等した対象機器の廃棄物の引取りを求められたときは、それを引き取らなければなりません。引取場所については、対象機器の廃棄物の再商品化等が能率的に行われ、小売業者・市町村からの円滑な引渡しが確保されるよう適正に配置する、とされています。
A 再商品化等実施義務(法第18条)
製造業者等は、引き取った対象機器の廃棄物について、再商品化等基準(法第22条)に従って、対象機器の再商品化等を実施することとされています。また、エアコン・冷蔵庫については、フロンの回収・破壊もあわせて実施する必要があります。
< 再商品化等基準 >(リサイクル率=総重量に占める重量の割合)
エアコン60%
テレビ55%
冷蔵庫50%
洗濯機50%

(2)小売業者

@ 引取り義務(法第9条)
小売業者は、次に掲げる場合において、対象機器の廃棄物を引き取ることとされています。
・自らが過去に小売販売をした対象機器の廃棄物の引取りを求められたとき
・対象機器の小売販売に際し、同種の対象機器の廃棄物の引取りを求められたとき
A 引渡し義務(法第10条)
小売業者は、対象機器の廃棄物を引き取ったときは、中古品として再利用する場合を除き、その対象機器の製造業者等(それが明らかでない時は指定法人)に引き渡すこと、とされています。

(3)消費者(法第6条)

消費者は、対象機器の廃棄物の再商品化等が確実に実施されるよう小売業者等に適切に引き渡し、収集・再商品化等に関する料金の支払いに応ずる等本法に定める措置に協力すること、とされています。

(4)市町村(法第54条)

市町村は、その収集した対象機器の廃棄物を製造業者等(又は指定法人)に引き渡すことができる、とされています(但し、自ら再商品化等を行うことも可能)。

【4】費用請求

(1)製造業者等(法第19条)

対象機器の廃棄物を引き取るときは、引取りを求めた者に対し、その対象機器の廃棄物の再商品化等に関する料金を請求することができます。その料金の額は、再商品化等を能率的に実施した場合の適正原価を上回るものであってはならず、また、料金の設定に当たっては、排出者の対象機器の廃棄物の適正な排出を妨げることのないよう配慮しなければならない、とされています。

(2)小売業者(法第11条、第12条)

対象機器の廃棄物を引き取るときは、中古品として再利用する場合を除き、排出者に対しその対象機器の廃棄物の収集及び製造業者等による再商品化等に関する料金を請求することができる、とされています。

(3)勧告・命令・罰則(法第14条、第21条、第58条)

事業者による料金の公表及び国による適切な情報提供、不当な請求をしている事業者に対しては、是正勧告・命令・罰則の措置がとられます。

【5】管理票(マニフェスト)制度(法第43条、第44条)

管理票を発行し、製造業者等までの対象機器の廃棄物の確実な運搬を確保するための措置を講ずることとされています。原則として管理票は小売業者が交付することとされていますが、対象機器の引渡しに支障が生じている地域については、指定法人が交付することとなります。

【6】その他

(1)指定法人(法第33条)

指定法人は、@製造業者等の倒産等により義務者が明らかでない場合、または、A中小規模の製造業者及び輸入業者の委託による場合に、対象機器の廃棄物の再商品化等を実施し、B対象機器の廃棄物の製造業者等への引渡しに支障が生じている地域の市町村またはその住民からの求めに応じて、対象機器の廃棄物を製造業者等に引き渡す等の業務を実施する、こととされています。

(2)製造業者等及び小売業者への監督(法第16条、第28条、第52条、第52条、第58条)

製造業者等及び小売業者による業務履行を確保するため、対象機器の廃棄物の引取り、再商品化等の義務に違反する場合の勧告・命令・罰則、報告徴収・立入検査等所要の監督を行う、こととされています。

家電リサイクル法見直しの方向性

施行後5年を経過した特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の見直しの議論は、中央環境審議会と産業構造審議会において、6月以降4回の合同会合を開催し、8月28日には『家電リサイクル制度等の見直しに当たっての検討課題(案)』が公表されています。

これまでの5年間を振り返り、問題となっているのは『見えないフロー』の問題です。対象となるテレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機の昨年の年間排出台数は、約1,886万台から約2,317万台と推計されていますが、このうち家電リサイクル施設において処理されたのは約1,162万台と全体の約50%とされています。つまり残りの約1,000万台については、家電リサイクル法のルートに乗っていないことになります。
このうち不法投棄されたのは約17万台とされており、本法施行時に比べ約40%増となっています。また、不明なもののうち『中古品』として輸出されたものも相当数に上るとみられており、いわゆるE-Waste(電気電子廃棄物)問題(海外とくにアジアでの不適正処理による有害物質の流出)につながっています。

なぜ、家電リサイクル法のルートに乗らないものが相当数存在するのかを解明し、適正なシステムへとバージョンアップさせることが、今回の見直しの命題であるといえるでしょう。
その検討課題の一つとしてあげられているのが『リサイクル料金の負担方式について、排出段階で負担を行う方式(廃棄時負担方式)と販売段階で負担を行う方式(販売時負担方式)について、考え得る様々な方式のメリット・デメリットを比較検討すべきではないか』とされているリサイクル料金の負担方式です。

現行の廃棄時負担方式の採用をめぐっては、立法時から論争がありましたが、@約3億台にのぼる既販品のリサイクル料金をあらかじめ徴収することが難しかったこと、A製品購入時には、廃棄時点でのリサイクルにかかる費用を予測することが難しいこと、B前払い制度を取った場合、製品購入から廃棄までの間に製造業者等が倒産・撤退した場合、その製造業者等の製品のリサイクル費用の手当が困難になること、C市町村の粗大ゴミの有料化や、小売業者の廃家電引取の有料化の拡大の動きを踏まえ、排出時負担によってコストを意識できる方が製品の長期使用、ごみ減量化に資すること、を理由として廃棄時負担方式が採用されています。
しかし、その後成立した使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)では、販売時負担方式が採用されており、今回の見直しにおいても最大の争点となることは間違いないでしょう。
この論争をめぐっては、小売業者側は販売時負担方式を、製造業者側は廃棄時負担方式をそれぞれ主張しており、消費者側は販売時負担方式を推す声が多いというのが現状です。

私自身は、@不要となったものにお金をかける、という意識が低いこと、Aあらかじめ料金設定することで、環境配慮設計(DfE:Design for Environment)に結びつきやすいこと、を考慮すると、販売時負担方式のほうがよいと考えています。
ただし、定着しつつある制度を変更するには相応の準備・コストなどが必要となりますから、慎重な議論がなされることを期待したいと思います。
その他の検討課題は以下の通りです。

1:環境配慮設計の促進
環境配慮設計の促進は、拡大生産者責任の考え方に基づき、現行制度下で製造業者等が物理的な処理責任を負うことの大きな理由となっていることから、これまでの製造業者等の取組状況を評価するとともに、今後、企業間の競争を通じて、環境配慮設計を一層促進する観点から、制度の在り方を検討すべきではないか。

2:3Rの推進
現行制度を3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進の視点からどのような成果があったか評価し、今後、この取組を一層充実させていく方策を検討すべきではないか。

3:リサイクル料金の在り方
家電リサイクル法の施行以来、同一料金のまま変更されていない主要な製造業者のリサイクル料金について、実際にこれを負担している消費者理解促進の観点から、コスト状況を明らかにするなど、料金の決定根拠等の透明性を確保しつつ、市場原理の下で、料金が低減していくような制度を検討すべきではないか。

4:対象品目の在り方
現行法制定当時にはあまり普及していなかった液晶テレビの今後の普及状況等を踏まえた対応など、個別品目について、対象品目として追加すべきかどうか検討すべきではないか。その際、現行の特定家庭用機器の4つの要件(市町村による処理困難性、資源の有効利用性、環境配慮設計促進の可能性、配送品該当性)についての考え方を整理すべきではないか。

5:再商品化率の在り方
現行の再商品化率の算定の考え方について、量的のみならず質的な観点から見直すべき点があるか。テレビのガラスカレットの海外における需給状況やブラウン管テレビの生産状況等の影響を十分勘案した上で検討すべきではないか。また、同じ処理内容でも再商品化率に算入されなくなるケースについてどう考えるか。

6:効率的な収集運搬システムの整備
指定引取場所がA・B2グループに分かれている現在の引取体制、インターネット販売の増加等の販売形態の多様化の影響や義務外品への対応等について関係者の役割サービスの在り方等も含めシステムの効率化の観点から検討することが必要ではないか。

7:離島における収集運搬に係る負担軽減
離島地域においては、合理的な運搬等により収集・運搬料金の軽減に努めているものの、海上輸送を伴うため、その分、収集運搬料金が本土と比べて高くなっており、その負担軽減のための措置が必要ではないか。

8:消費者等に対する普及啓発
消費者小売業者製造業者等の関係者に対し家電リサイクル制度の趣旨仕組み、成果や、消費者による適正な排出等の各主体の責務等について、効果的に普及啓発を行うにはどのような手法があるか。

9:既存業者の取扱い
既存業者の処理内容の透明性の確保や、環境配慮設計の促進という観点を踏、まえながら製造業者等が再商品化義務を負うことを前提とした仕組みの中で既存業者の取扱いについて検討すべきではないか。

6.建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)  法律

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)は、2000年5月に第3番目の個別リサイクル法として制定されました。
建設工事に伴って廃棄されるコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材の建設廃棄物は、産業廃棄物全体の排出量の約2割、最終処分量の約4割を占め、また不法投棄量の約9割を占めています。さらに、高度成長期の建築物が更新期を迎え、今後建設廃棄物の排出量の増大が予測されます。この解決策として、資源の有効な利用を確保する観点から、これらの廃棄物について再資源化を実施することは、循環型社会を構築していくに際し、重要な政策課題であったといえます。

建設リサイクル法では、特定建設資材(コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリート)を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことが義務付けられています。
また、対象建設工事の実施に当たっては、工事着手の7日前までに発注者から都道府県知事に対して分別解体等の計画等を届け出ることを義務付けたほか、対象建設工事の請負契約の締結に当たっては、解体工事に要する費用や再資源化等に要する費用を明記することを義務付けるなどの手続関係も整備されています。

さらに、適正な解体工事の実施を確保する観点から解体工事業者の都道府県知事への登録制度が創設された他、建設廃棄物のリサイクルを促進するため、主務大臣が基本方針を定めることが規定されていました。これに基づき2001年1月17日に基本方針が定められ、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に当たっての基本理念、関係者の役割、基本的方向などを定めるとともに、特定建設資材廃棄物の2010年度の再資源化等率を95%とする等の目標が掲げられています。

<建設リサイクル法の概要

【1】分別解体等及び再資源化等の義務付け

(1)分別解体等の実施義務

□特定建設資材:コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリート
□特定建設資材廃棄物:特定建設資材が廃棄物となったもの
特定建設資材を用いた建築物等の解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が一定基準以上のもの=対象建設工事の受注者又は自主施工者は、正当な理由がある場合を除き、特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを確保するための適切な施工方法に関する基準に従って、分別解体等をしなければならない、とされています(なお、都道府県が条例により、さらに厳しい基準を定めることができる)。
このうち木材については、リサイクル率が低迷している現状にある上、再資源化施設も地域的に偏在しているなどの問題があるため、焼却・脱水等による縮減を行うことが認められています。

@対象建設工事の規模の基準
□建築物の解体工事では床面積80平方メートル以上
□建築物の新築又は増築の工事では床面積500平方メートル以上
□建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上
□建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上
上記の基準によると、工事件数(棟数)ベースで約65%が対象建設工事となり、9 1%程度の建設廃棄物が本法の義務付けによって再資源化等されることになります。
A分別解体等の施工方法に関する基準
□対象建設工事に係る建築物等に関する事前調査(作業場所、搬出経路の確認等)の実施
□分別解体等の計画の作成
□事前措置(作業場所、搬出経路の確保等)の実施
□工事施工
(解体工事(建築物)の作業手順)
□設備、内装材の取外し
□屋根ふき材の取外し
□外装材、本体の取壊し
□基礎の取壊し
(解体工事に係る分別解体等の方法)
□手作業
□手作業・機械作業の併用
のいずれか。機械作業のみによる解体は原則認めない。

(2)再資源化等の実施義務

対象建設工事の受注者は、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化をしなければなりません。ただし、指定建設資材廃棄物=廃木材については、工事現場から一定の距離(距離基準)内に再資源化施設がない場合や、再資源化をすることには相当程度に経済性の面での制約がある場合には、縮減で足りることとされています(分別解体等の規模に関する基準の場合と同様、都道府県は条例により、距離基準より厳しい基準を定めることができる)。
@距離に関する基準等
再資源化施設までの距離基準については、できるだけ多くの建設廃棄物をリサイクルすること、再資源化施設の配置の現状等を考慮し、50kmをその基準とし、この範囲内に再資源化施設がない場合には、縮減で足りることとされました。また、工事現場付近から再資源化施設まで廃木材を運搬する道路が未整備のため、焼却施設までの運搬費用が再資源化施設までの費用より安価な場合も縮減で足ります。

【2】分別解体等及び再資源化等の実施を確保するための措置

建設工事における発注者の役割の重要性を考慮し、対象建設工事の発注者に、工事に着手する日の7日前までに分別解体等の計画等を都道府県知事に届け出ることを義務付けられています。
また、都道府県知事は、その計画が、特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを適切に確保するための施工方法に関する基準に適合しないと認めるときは、発注者に対し分別解体等の計画の変更その他必要な措置を講ずることを命ずることができます。

(1)対象建設工事の届出に関する事項

届出内容として建設リサイクル法に規定されている事項は、解体工事の場合は解体する建築物等の構造、新築工事の場合は使用する特定建設資材の種類、工事着手時期と工程の概要、分別解体計画、解体建築物等に用いられた建設資材の量の見込み、その他省令で定める事項となっており、届出内容の詳細は省令で定められています。
(主な具体的な届出事項)
□届出者に関する事項(氏名・住所等)
□元請業者に関する事項(名称、所在地、建設業許可又は解体工事業登録に関する情報、技術者に関する情報等)、
□対象建設工事に関する事項(施工場所、建築物・工作物の別、解体工事・新築工事等の別、工事規模等)
□工事の内容に関する事項(解体工事の場合は解体する建築物等の構造、新築工事等の場合は使用する特定建設資材の種類等)
□分別解体等の適正な実施に関する事項(事前調査の内容、分別解体等の計画、建設資材(廃棄物)の量の見込み、工事手順と手段等)

(2)受注者から発注者への説明等

□元請業者(受注者)から発注者への書面による分別解体等の計画等の必要事項の説明
□元請業者(受注者)から下請業者への発注者が届け出た事項の報告
□請負契約の当事者による契約書への解体工事・再資源化等に要する費用等の明記(契約締結時)
□再資源化等が完了後の元請業者による再資源化等が完了した年月日、再資源化等をした施設の 名称・所在地等の発注者への書面による報告
□再資源化等が完了後の元請業者による再資源化等の実施状況に関する記録の作成・保存
□再資源化等が適正に行われなかったと認めるときの発注者による都道府県知事への申告

(3)解体工事業者の登録

解体工事業を営もうとする者は、請け負おうとする解体工事の規模や額にかかわらず、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない、とされています(土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業のうちいずれかの建設業許可を受けている建設業者は登録不要)。
登録に当たっては、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる技術管理者を選任しなければならないほか、解体工事を施工するときは、技術管理者にその工事の施工に従事する者の監督をさせなければなりません。また、営業所及び工事現場ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならないほか、営業所ごとに帳簿を備え保存しなければならない、とされています。

【3】廃棄物処理法との関係

建設リサイクル法は、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)とともに廃棄物処理法の下位法として制定されました。建設リサイクル法による再資源化等の実施は、廃棄物処理法が適用される特定建設資材について義務づけられています。
両法の関係の整理については、@『建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(平成11年3月23日/衛産20号)』、A『建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(平成13年6月1日/環廃産276号)』、において詳細に規定されています。

(1)排出事業者は誰か

廃棄物処理法においては、産業廃棄物の処理責任は排出事業者にある、とされているため、特定建設資材廃棄物の排出事業者は誰か、が重要なポイントとなります。上記通知においては、『建設工事等における排出事業者には、原則として元請業者が該当する』とされており、建設廃棄物については、実際の工事の施工は下請業者が行っている場合であっても、発注者から直接工事を請け負った元請業者を排出事業者とし、元請業者に処理責任を負わせること、とされています。
なお、元請業者が当該工事の全部、又は建設工事のうち明確に区分される期間に施工される工事を下請業者に一括して請け負わせる場合において、元請業者が総合的に企画、調整及び指導を行っていないと認められるときは、下請業者が排出事業者になる場合もある、とされています。

(2)排出事業者の役割

排出事業者は自らの責任において適正処理を行うとともに、廃棄物の発生抑制、再生利用等による減量化並びに再生資材の活用を積極的に図るほか、排出事業者として以下の役割を履行しなければなりません。
□元請業者が中心となって、発注者―元請業者―下請業者―処理業者の間の協力体制を整備し、円滑に運営すること
□仕様書等に廃棄物の処理方法が記載されていない場合は、発注者に申し出ること
□元請業者は廃棄物の処理方法等を記載した廃棄物処理計画書を作業所ごとに作成し、発注者の要求に応じて提出すること
□建設廃棄物を再生資源として利用することに努めること
□廃棄物の取扱い方法を定め、教育、啓発等により従業員や関係者に周知徹底させること
□建設廃棄物の運搬を委託する際には、引き渡す都度、種類ごとに必要事項を記入したマニフェストを交付するか、又は必要事項を電子マニフェストにより登録して廃棄物の流れの把握及び処理過程の事故防止に努めること
□廃棄物の排出は分別排出を原則とし、分別物の回収方法、分別容器等について処理業者と打合せを行うこと
□廃棄物の取扱いを下請業者任せにしてはならない。したがって、処理を委託する場合は、元請業者は直接処理業者を選定した上で委託契約を締結するとともに、マニフェスト又は電子マニフェストの使用等により適切な委託を行うこと
□建設廃棄物の性状や処理方法を把握しておくこと
□廃棄物処理の結果を発注者に報告すること
□マニフェスト及び処理実績を整理して記録、保存すること
□多量に産業廃棄物を発生する事業場を設置している事業者は、廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事等に提出すること
□コンクリート、木材等の特定の建設資材を用いた建築物の解体工事等を受注する場合には、分別解体等を行うこと、分別解体等に伴って生じた特定の建設資材廃棄物について再資源化を行うことなど建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に従うこと
□元請業者は、下請業者が排出事業者に該当する場合でも、下請業者が行うマニフェストの交付又は電子マニフェストの登録等を含め廃棄物の適正処理について、元請業者として適切な指導を行うこと(が望ましい)

(3)発注者の責務と役割

一方、発注者については、『建設工事等における発注者等の排出事業者以外の関係者は、発生抑制、再生利用等による減量化を含めた適正処理について、排出事業者が廃棄物処理の責任を果たせるよう、それぞれの立場に応じた責務を果たさなければならない。』として、次の項目が掲げられています。
□建設工事等を行う以前からの廃棄物(例えば、解体予定建築物中に残置された家具等の廃棄物)を適正に処理すること
□元請業者に行わせる事項については、設計図書に明示すること
□企画、設計段階において、@建設廃棄物の発生抑制、A現場で発生した建設廃棄物の再生利用、B再生資材の活用、について積極的に推進すること
□積算上の取扱いにおいて適正な建設廃棄物の処理費を計上すること
□元請業者より、建設廃棄物の処理方法を記載した廃棄物処理計画書の提出をさせること
□工事中は建設廃棄物の処理が適正に行われているか注意を払うこと
□工事が終わった時は元請業者に報告させ、建設廃棄物が適正に処理されたことを確認する。また、建設廃棄物が放置されていないか注意を払うこと
□コンクリート、木材等の特定の建設資材を用いた建築物の解体工事等を発注する場合には、分別解体の計画等を都道府県知事に届け出るなど建設リサイクル法に従うこと

以上のように、建設資材廃棄物の排出事業者である元請業者は、その廃棄物の処理を委託処理する場合には、産業廃棄物処理業者と適正な契約を締結することが求められます。

(4)特定建設資材廃棄物以外のもの(PDF)

建設資材とは「土木建築に関する工事に使用する資材」と定義されており、伐採木、伐根材、梱包材等は建設資材ではないので、建設リサイクル法による分別解体等・再資源化等の義務付けの対象とはなりません。
また、特定建設資材のリース材(例えば木製コンクリート型枠等)については、工事現場で使用している間は建設資材であるものの、使用後リース会社に引き取られる場合は、建設資材廃棄物として排出されるものではない、とされています。
このため、対象建設工事となる工事現場から直接廃棄物として排出される場合は、分別解体等・再資源化等が必要ですが、リース会社から廃棄物として排出される場合は、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とはなりません。
しかし、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とならないものについても、廃棄物処理法の規定に従った適正な処理が必要となります。

(5)埋め戻しによる再生利用(PDF)

特定建設資材廃棄物であるコンクリート等を、現場で破砕し、そのまま埋め戻しをすることの可否がよく問題となります。特定建設資材廃棄物は、廃棄物処理法上の廃棄物であるため、許可を受けた中間処理施設での処理(再生)が大前提となります。したがいまして、適正な処理を経た後でなければ埋め戻しはできないことに留意する必要があります。
この場合、廃棄物の定義は、廃棄物処理法によることとなりますが、『行政処分の指針(平成17年8月12日環境省通知)』(PDF)によると、廃棄物とは、『占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること』とされています(総合判断説)。また、再生利用についても『再生後に自ら利用又は有償譲渡が予定される物であっても、再生前においてそれ自体は自ら利用又は有償譲渡がされない物であるから、廃棄物として規制する必要があり、当該物の再生は廃棄物の処理として扱うこと』と解釈されています。

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