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化学物質審査規制法の改正情報

平成21年改正の概要

改正の背景

化学物質に対する関心・取り組みが国際的に進められています。環境サミットでは2020年までにすべての化学物質による人の健康や環境への影響を最小化することが合意されており、欧州では、新規制(REACH)が2007年に施行されました。
近年の世界の化学物質管理政策の流れは、化学物質固有の有害性のみに着目したハザードベース管理から、環境への排出量(曝露量)も踏まえたリスクベース管理へシフトしており、現行の化審法の法政策とのギャップが顕在化しています。また、国際条約(ストックホルム条約)では、禁止される対象物質について、一部例外使用を認める合意がされていますが、現行の化審法では例外使用の規定が制限的であり、我が国に必須の用途が確保できないおそれがあります。

化学物質を取り巻く上記の動向を踏まえ、化学物質の「有害性(ハザード)」のみに着目した規制体系から、人及び動植物へどれだけ影響を与える可能性があるかの「環境排出量(曝露量)」を加味した、「リスク」ベースの規制体系へ移行させるため、平成21年改正が行われました(平成21年5月20日公布 法律第39号)。

施行期日は、平成22年4月1日施行、平成23年4月1日施行の二段階に分かれています。

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*法改正の詳細は、「環境法令改正情報」(会員コンテンツ:ID・PASSが必要です)の公布日検索等をご参照ください。

第一段階改正(平成22年4月1日施行)の主な内容

1.良分解物質も対象になった

難分解性でない化学物質であっても、その分解量を超える量が環境中に放出されることにより、人又は動植物への被害が懸念されることに鑑み、現行法においては、難分解性を有する化学物質のみが対象となっていた第二種特定化学物質、第二種監視化学物質及び第三種監視化学物質について、良分解物質もその対象とすることとされました。

2.低懸念ポリマーが確認制(化審法の届出不要)になりました

一定の基準を満たすポリマー(多数の低分子化合物が結合してできる高分子化合物)は、分子量が大きく細胞膜を透過しないことから、人の健康や動植物の生育に与える影響は少なく、国際的にも確認されてきています。このことを踏まえ、これらについては化審法の届出を要さないこととされました。

3.サプライチェーンに係る情報伝達義務が課されました

第一種監視化学物質を事業者間で譲渡する場合には、相手方事業者に対して化学物質が第一種監視化学物質であること等を伝達する努力義務を課されました。

4.第一種特定化学物質に係る措置が講じられました

@09年5月にストックホルム条約の対象となったPFOS等の12物質が第一種特定化学物質に指定されました。

A第一種特定化学物質が代替困難であり、人の健康又は環境への被害が生じない場合には、エッセンシャルユースとしてその使用が認められました(=要件緩和)。

→PFOSと呼ばれる化学物質の使用を認める用途として、半導体用のエッチング剤・レジストの製造、業務用写真フィルムの製造用の用途がエッセンシャルユースとして指定されました。

B第一種特定化学物質及びその含有製品について、ラベル等による表示及び基準適合義務が課せられました(=管理強化)。

→PFOSが使用されている半導体用のエッチング剤・レジスト、業務用写真フィルム及び泡消火薬剤等について、取扱事業者に取扱上の基準適合義務及び表示義務を課す製品とされました。

5.第二種特定化学物質に係る措置が講じられました

@第二種特定化学物質だけでなく、政令で指定された第二種特定化学物質が使用されている製品についても、技術上の指針の公表を行うこととされました。

A政令で指定された製品で第二種特定化学物質が使用された製品については、第二種特定化学物質の取扱事業者だけでなく、製品の取扱事業者にも、表示の義務が課されました。

Q&A集

第1段階改正後の平成22年4月1日に施行される化審法に関するQ&A
出典:出展厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室/経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室/環境省総合環境政策局環境保健部企画課化学物質審査室

 

第二段階改正(平成23年4月1日施行)の主な内容

1.一般化学物質も製造・輸入量等の届出対象になります

1トン以上の化学物質を製造輸入する者は、毎年度、製造・輸入量や用途等について届出が必要になります。届出がなされた化学物質については、リスク評価が行われ、必要に応じて、優先評価化学物質に指定されることになります。ただし、次の用途・物質については、対象から除外されます。
<対象除外>
@試験研究用途、A1トンに満たない化学物質、Bリスクが少ないと認められる化学物質(水、二酸化炭素等)

2.「優先評価化学物質」が新設されました

@リスクが高いと評価された化学物質は「優先評価化学物質」に指定されます。

→優先評価化学物質の新設により、「第二種監視化学物質」及び「第三種監視化学物質」は廃止されます。第一種監視化学物質は、「監視化学物質」と名称を変更され存続します。

A1トン以上の優先評価化学物質を製造輸入する者は、毎年度、製造輸入数量・用途等についての届出が必要となります。
B段階的に詳細なリスク評価が行われ、必要に応じて、第二種特定化学物質に指定されます。

参考情報

一般化学物質及び優先評価化学物質の製造数量等の届出事前準備資料(経済産業省説明資料:平成22年12月版)/平成22年12月28日更新

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